Concept

日本の社会保障制度において、膨張する医療・介護費用などの支出面からだけでなく、生産年齢人口の減少や非正規雇用の問題など、収入面からも危機的状況に置かれているのが我国の現状です。一方、国や地方自治体から家族までの間を補うはずの地域コミュニティは希薄化・崩壊したことによって空っぽになってしまい、その結果、利己的な市民の増加と家族の孤立化が進みました。近所付き合いもなく、核家族化で誰にも頼ることができず、親も子も心身ともに疲れ果て、家庭は空疎になるばかり。

高齢者人口は、2040年あたりに3,868万人でピークを迎え、その後はゆっくりと減少することが予想されています。つまり、ここ15年から20年ぐらいが一番厳しく世代間格差も拡大します。この時間をどう耐えていくか、ここをどうしていくのかを、私たちは考えていかなければなりません。だからこそ、今、地域コミュニティの再構築が必要とされ、そして、それは回帰ではなく螺旋的発展であることが重要なのです。

 

善き隣人(Good Neighbors)

善きサマリア人のたとえ

“ある人が強盗に襲われ瀕死の状態で道端に捨て置かれた。祭司が通りかかったがそのまま行ってしまった。次にレビ人がやってきたが同じように立ち去った。次にやってきたサマリア人は、旅人に応急処置をしてロバ(または馬)に乗せて宿屋に連れて行き、介抱した。次の日、宿屋の主人に銀貨を渡し、世話を頼んだ。イエスは律法家に、この3人の中で誰が旅人の隣人かと尋ねると、律法家は、親切なサマリア人だと答えた。イエスは「行ってあなたも同じようにしなさい。そうすれば永遠の命をいただくことができる」と言った。”
ルカ福音書 10章25~37節

善きサマリア人とは、聖書の中のルカ福音書に書かれた、イエスが「隣人愛」をたとえ話によって説くエピソードです。私たちは、助けが必要な人に手を差し伸べる“善き隣人”となって、住民の皆さまの近くにいたいと考えています。

デジタル社会におけるウェルビーイングな暮らし

私たちは、「今が一番楽しく、明日が楽しみになる社会」というビジョンを掲げており、そのビジョンを実現するために、私たちは「新しい暮らし方=デジタル社会におけるウェルビーイングな暮らし」をつくっています。

ウェルビーイングとは、病気にならず、笑顔が絶えず(たまには喧嘩しても)、仕事や趣味、地域ボランティアなどで社会とつながっており、持続的に幸福を感じられている状態だと定義しています。加えて、昨今の社会のデジタル化に合わせて高齢者もその恩恵にあずかり、どの世代もデジタルから取り残されない社会にしたいと考えています。

人類の寿命が大きく延びたことによって、老後をどう生きていくかが問われています。私たちは、その答えの一つとして、「デジタル社会におけるウェルビーイングな暮らし」を提案します。

“善き隣人”を増やして、地域をケアする

ライフラインとは命綱という意味ですが、地域医療を担う私たちは、住民の皆さまにとってまさに命綱であり、それと同時にコミュニティの希薄化から再び人と人をつなぐ綱でもあると考えています。医療や介護が必要不可欠であることに疑いの余地はありませんが、高齢化が深刻化する中で人の健康を守る「予防」は、これまで以上に重要になってくることは間違いありません。

ですから、私たちが“善き隣人”となって地域の中に溶け込み、日常的な会話やデジタルデバイスを通じたヘルスケア・コミュニケーションから皆さまの健康を見守りたいのです。誰に対してもフェアに振る舞い、オープンでいることを心掛け、地域がより良くなるよう“善き隣人”を増やして地域そのものを元気にしてまいります。

私たちは地域と向き合うことをやめません。