訪問看護がもたらした「実証フィールド」という強み
前回は、STARTWELLから訪問看護へと切れ目なく支援がつながった事例をご紹介しました。今回は少し視点を変えて、そのSTARTWELLがどのようにして生まれたのか、そして訪問看護という事業を持っていることが、私たちにとってどんな強みになっているのかをお伝えしたいと思います。
この4回のコラムでは、訪問看護や遠隔医療、予防・見守り、ヘルスツーリズムといった取り組みを、いずれも地域の課題を支える側面からご紹介してきました。今回はそれらを事業として支えている「訪問看護」という基盤そのものが、実は新しい価値を生み出す土台にもなっているという話です。
訪問看護があるから、地域とつながれる
私たちが呉市の安芸灘地域で訪問看護ステーションを運営していることの意味は、単に医療サービスを提供しているというだけではありません。日々、利用者やご家族のご自宅にうかがい、生活の様子や困りごとを直接うかがう中で、地域の高齢者がどんな暮らしをしていて、何に不便を感じ、何を必要としているのかという、現場のリアルな情報が自然と集まってきます。こうした地域との継続的なつながりは、一朝一夕には築けないものです。
そのつながりが、STARTWELLを生んだ
予防的ヘルスケア・見守りサービス「STARTWELL」は、こうした訪問看護の現場で得た気づきをもとに生まれたサービスです。実際に地域で暮らす高齢者の方々に使っていただきながら、使い勝手や見守りの精度を確かめ、改善を重ねてくることができたのは、私たちが訪問看護という形で地域と直接つながっていたからこそです。机上の想定だけでは分からない、生活に根ざしたリアルな反応を得られる場を、私たち自身が持っていたことになります。
「実証フィールド」を持つということ
この、地域とつながった現場は、いわば私たちにとっての「実証フィールド」です。自社でサービスやプロダクトを開発する際、いつでも実際の利用者に協力していただきながら検証を進められることは、大きな強みです。そして、この実証フィールドは、私たちだけのものにとどめておく必要はないとも考えています。在宅の高齢者向けにサービスやプロダクトの開発を検討している企業にとって、実際の生活の場で実証実験を行える環境を一から用意することは、決して簡単ではありません。私たちはこのフィールドを活かし、実証実験を受託する形でお手伝いもしてきました。
実証実験の対象になりうるのは、見守りセンサーやウェアラブル機器といったIoT機器に限りません。生活支援サービスやアプリ、コミュニケーションツールなど、在宅の高齢者の暮らしに関わるものであれば、幅広く検証の場としてお役に立てると考えています。加えて、高齢化率35.5%という呉市の特性や、地域包括支援センターや医療機関との日頃の連携関係も、都市部では得にくい検証環境としての価値になるはずです。
在宅高齢者向けの開発を検討されている方へ
もし、在宅の高齢者向けにサービスやプロダクトの開発を検討されている企業の方がいらっしゃれば、ぜひ一度私たちにお声がけください。呉市という過疎地域の現場に根ざした実証フィールドを活かし、開発の初期段階から実際の利用者の声を反映させたプロダクトづくりのお手伝いができればと考えています。実証実験の受託は、私たちにとっても新しい収益の柱であると同時に、地域に還元できる価値を広げる機会でもあると捉えています。
おわりに
訪問看護という事業を持つことは、地域医療を支えるだけでなく、そこで得られる現場のつながりを新しいサービスやプロダクトの開発に活かすという可能性も広げてくれます。次回も、私たちの現場での取り組みについてご紹介していきます。
